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五輪ボクシング総まとめPART2(選手編・前半)

今大会で個人的印象度の高かった選手をまとめていく。

 

ライトフライ級

ゾウ・シミン(中国):アマ最軽量級の覇者として長年君臨してきた"達人"ゾウ、今大会でも金を獲得したがその実力にはついに陰りが感じられた。決勝は異論の出る微妙な判定。相手が強いと言うよりもゾウの黄昏が目立った。五輪三連覇は無さそう。

 

フライ級

ニャンバヤル・Togstsogt(モンゴル):09年世界選手権で17歳にして銀を獲得した天才児。その後ややスランプだったために今大会ではそこまで有力視はされていなかったが、高いレベルでまとまったスキルとフィジカルを魅せつけ銀メダルをゲット。打ち合いもポイントゲームもきっちりこなす万能型。アマチュアにとどまるならリオでは優勝候補として挙げられるだろう。

リビア……モンゴルの習慣により、本人の名前はTogstsogtでありニャンバヤルは苗字ではなく父称Wikipedia)。

 

ロベイシー・ラミレス(キューバ):This is Cuban!と言いたくなるような才能あふれる18歳の金メダリスト。柔軟な動きでバネと瞬発力があり、それでいて重心が安定しパンチが多彩で鋭い。ボクシングをやるために生まれてきたような素材だ。亡命してくれるなら諸手を上げて喜ぶのだが。

 

バンタム級

ルーク・キャンベル(イギリス):準決勝で清水を破り決勝でも接戦を制し地元に金メダルをもたらした。清水戦では身長差を全く苦にせず、出入りの鋭さと正確なパンチで快勝。決勝でも地元判定と言われることのない価値ある勝利を得た。少々パワー不足なので、プロには銀のネヴィン(アイルランド)の方が向いているかも?

 

ライト級

ヴァシル・ロマチェンコウクライナ):言わずと知れたアマPFP、非の打ち所のないコンプリートファイター。今大会である程度本気を出したのは準決勝のアルバレス戦ぐらいで、余力をたっぷり残しながら優勝を飾ったという印象。もはやアマではこの男を止められる選手はいないと思われる。

そのロマチェンコだが、現行のプロではなくAIBAが来年新設する独自プロリーグのAPBと契約したという衝撃的なニュースが世界を駆け巡った。AIBAにとってはまさに大魚を得たわけだが、これは既存トッププロとの頂上決戦が実現しないことを意味する。APBの行く先はわからないが、現時点では残念な発表と言うほかはない。

リビア……ロマチェンコのあこがれのファイターはタイソンであり、そのファイトスタイルにもタイソンの影響が強い。タイソンの試合に熱狂していた幼少時代、本人はアイアン・マイクがウクライナ人だと思っていたが、後にそうではないと知り号泣したという。どう見てもタイソンがウクライナ人に見えないのは気のせいだ。

 

エヴァルダス・ペトラウスカス(リトアニア):2010年ユース五輪金メダリストにしてロンドンでも銅を獲得。リトアニアからは初のメダリスト。準決勝では徹底したアウトボクシングを展開したハン(韓国)に僅差で敗れたが、観客を熱くさせる力では本大会でも指折りの好選手だ。そのスタイルは「お前が倒れるまで追い続ける」ノンストップファイターそのもの。間違いなくアマよりプロ向きのロッキーな男だ。

 

フェリックス・ヴェルデホプエルトリコ):ベスト8でロマチェンコに敗れた19歳。プエルトリカンらしいクラシカルな魅力に溢れたプロスペクトだ。絶対王者の壁は厚かったものの、将来性はたっぷり。プロ転向してからがこの男のボクサーとしての本当の始まりだろう。数年後が楽しみだ。

 

ライトウェルター級

ロニエル・イグレシアス(キューバ):それにしてもキューバ人の名前はカッコいい。ロニエル・イグレシアスである。ロニエル・イグレシアス。伝説の勇者か。この男もまたボクシング王国キューバを象徴する様な柔軟で自由、それでいて高度なボクシングを展開する。北京で銅を、今大会で金を獲得し文句なしの頂点に上り詰めた。身体能力、センスは申し分ないしパワーも十分感じられる。この完成度にして23才。亡命すればプロモーターが泣いて喜ぶ逸材だ。

 

ウェルター級以降は後半にて。