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プロスペクトウォッチ:ジョナサン・ゴンザレス

スポーツ観戦において最も楽しみなことの一つは、自分がこれはと見定めた若者が成り上がっていくのを見守ることだ。まだ世間の多くの人々が知らない原石を発見することが出来れば彼がスターになった時にはちょっとした自慢話にもなるし、何より自分が嬉しくなる。たとえ実際には何もしていなくても「わしが育てた」ような気分にもなろうというものだ。

このプロスペクトウォッチでは、管理人が独断と偏見で選んだ一級品のホープを紹介していきたい。

 

一発目はプエルトリコのスーパーフライ級、21歳のジョナサン・”ボンバ”ゴンザレス。アマチュアでは世界ユース選手権を制覇し、シニアの中米カリブ選手権でも金を獲得。プロ転向後は11連勝10KO。こうした実績を見るだけでも期待の大きさがわかる。なおこの名前は中南米ではあまりにもありふれた名前であり、先日元王者セルゲイ・ジンジルクと引き分けた不敗のスーパーウェルター級ジョナサン・ゴンザレスも同姓同名ではあるがそちらには個人的に期待していない。

これが最新の試合の動画だ。


2012-10-19 Jonathan Gonzalez vs Danny Flores by sweetboxing5

相手は13勝1敗8KOと中々の戦績を誇るメキシカン。しかもこの試合では確信犯の3ポンドオーバーでなりふり構わず勝ちに来ていた。体格差は誰の目にも明らかだ。試合はそのフローレスが徹底してプレスを掛けていく。しかしゴンザレスは華麗なフットワークでそれを捌き、切れ味鋭いカウンターやコンビネーションを次々に打ち込んでいく。体格の違いを全く苦にしないばかりかスキルとスピードの違いを見せつけていくばかり。完全なワンサイドゲームとなった第6ラウンド、もはやここまでとレフェリーが試合を打ち切った。

 ゴンザレスの強みはやはりアマ戦績に裏打ちされた高度な技術だ。とにかく脚がよく動くし、しかもそれが逃げの脚にならず常に有効打を打ち込もうと自然体で構えている。一発でなぎ倒すような豪打の持ち主ではないが、シャープで的確なパンチを次々クリーンヒットさせるので容赦なくダメージを与え続けることが出来るタイプだ。タイミング次第では鮮やかなノックアウトも演出できる。

彼の滑らかなアウトボクシングを見ていると、同胞の大先輩イバン・カルデロンにも通じる完成度の高さを感じる。いわば攻撃的でパンチのあるカルデロンだ。打たせずに打つ。そして倒す。彼が目指しているのはそんな理想形のようなボクシングだろう。

では弱点は? 技術面ではほとんど穴らしきものは見当たらないが、相手のレベルが上がっていくまでは判断は早計だ。タフネスに関してもわからない。何しろ滅多に打たれないからだ。目下最大の弱みは骨格が小さいこと。現在はスーパーフライ級で戦っているが、はたして素の体格は井岡一翔より大きいのか? かなり怪しい。多階級を制覇するのではなく一つの階級に長く留まり君臨する、古き良きタイプのチャンピオンになっていくのかもしれない。