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明日はボクシング日和! 海外ファイトまとめ

主要な海外試合はほとんどが金曜と土曜(日本時間の土曜と日曜)に行われるのがお決まりだ。今週は金曜がスカスカだった代わりに土曜の充実ぶりは目を見張る。ちょっとずらしたほうが良かったのではと思ってしまうほどだ。

 

ビタリ・クリチコvsマヌエル・チャー  モスクワ

これがビタリのラストファイトと言われて納得する者はほとんどいないだろう。チャーは無敗でサイズもそれなりだし、若い。だがそれだけだ。ビタリがよほど油断するかコンディション作りに失敗しない限り敗北はありえない。政治家になるのは本人の自由だが、一時代を築いた世界ヘビー級王者にこれで引退されたのではどうしたって寂しい。偉大なファイターには最後の一仕事がある。負けることだ。敗れることで後進にバトンを渡す、それが伝説を終わらせるということだ。少なくとも、それなり以上に負ける可能性のある相手と戦ってくれなければ引退を納得することは難しい。せめてヘイ戦は決まってほしいなあ。

前座では全試合KO中のロシアンヘビー、マゴメド・アブドゥサラモフが黄昏の巨漢ジャミール・マクラインとのテストマッチに挑む。マゴメドが来年世界に挑む可能性はかなり高い。要注目。

 

アンドレ・ウォードvsチャド・ドーソン  カリフォルニア

濃いマニアならヨダレが出るようなハイレベルでテクニカルなカードだ。両者とももひとつ地味でパワー不足、スター性に欠けるとはいえその実力の高さは文句のつけようがない。鍵となるのはウェイト。Lヘビー級王者のドーソンが7ポンド落としウォードの階級に合わせるというのは一般的な契約とは言い難い。通常階級を超えた戦いは軽い方が上に合わせる、もしくは中間値で契約するのが筋というものだろう。ドーソンの減量苦を見越してオッズは大きくSミドル級王者に傾いている。

しかしドーソンの自信は本物のようだ。Lヘビーでは全く減量に苦労していなかった彼は今回の減量においても大きなトラブルはなかったそうで、事実計量では素晴らしくキレのある体を披露している。仮にドーソンがベストコンディションだとするとウォードにとって近年になく苦しい戦いになるだろう。スーパー6で戦った誰よりも距離があり、経験豊富で機敏なサウスポー。どんなボクサーにとってもやりやすいはずがない。ウォードが勝つ時はインファイトが鍵になるのではないだろうか。

セミはWBCライト級タイトルマッチのアントニオ・デマルコvsジョン・モリナ。もうお馴染みのデマルコがタフなファイター型のモリナをどう捌くのか(あるいは捌けないのか)が見所だ。勝者にエイドリアン・ブロナーが挑む可能性があるという意味でも注目のカードだろう。

 

ウォルター・マティセーvsオジョーセ・オルセグン  ラスベガス

この日の全試合中最も派手な打ち合いが期待できるのがこのカードだ。圧倒的な破壊力を誇るマティセーとエネルギッシュなアフリカンリズムに溢れるオルセグンがぶつかれば凡戦になることは極めて考えづらい。ボクシングの原始的な魅力を堪能できる一戦になるだろう。有利なのはやはりマティセー。勢いが違う。オルセグンはどうしたってブランクが痛いが、もしサビを感じさせない動きを見せることができれば番狂わせの可能性は大いにある。本来のメインカードであるベイリーvsアレキサンダーは延期になってしまったが、それはそれとしてこの試合は必見だ。

セミはミドル級プロスペクトのジェイレオン・ラブが登場。まだまだ新米であり上位進出はだいぶ先の話だが、確かなセンスを感じさせる俊英だ。時間のある人はチェックしてみても良いのでは。

 

トマス・アダメクvsトラビス・ウォーカー  ニュージャージー

もはや季節行事となってきた感のあるアダメクの最新ファイト。相手は中堅上位の立ち位置で強敵相手に負けたり負けたりたまに勝ったりを繰り返してきたウォーカー。体格があってそれなりに纏まった戦力を持つウォーカーをきっちり仕留めるのは苦労しそうだが、二度目のヘビー級世界挑戦を目指すならモタついてはいられない。

前座にはこれがヘビー級デビューとなる元クルーザー級王者スティーブ・カニンガムとアメフト、バスケ出身のホープブライアント・ジェニングスが登場。ヘビー級ファンならばチェックしておきたい興行だ。

 

デオンテイ・ワイルダーvsデイモン・マクリーリー  カリフォルニア

全階級通じて最も慎重なキャリアを積むホープの1人ワイルダーがまたしても格下相手のステイ・ビジー・ファイトに登場する。いい加減強いのとやれという気持ちは誰もが持っているが、この試合は前回からわずか一ヶ月、あくまで興行を埋めるために急きょ呼び出されたというケースであって陣営を責めるのはお門違いだろう。むしろオールドファイターのように頻繁にリングに上がろうとする心意気は買いである。ここはさくっと25連続KOを決めて年末にも真のテストマッチが見たいところだ。

 

マルコ・アントニオ・ルビオvsカルロス・バルドミール  メキシコ

別に全然注目ファイトではないのだが、とうとうSミドルにまで来てしまった41才バルドミール(70戦目!)の衰えぬ闘志と緩い体に敬意を評して書き留めておく。ジュダーを破り世界を驚かせてからはや6年半。現在のようなフィーバーが始まる前にアルゼンチンでのボクシング人気を牽引した無骨な男でありました。最近雨後の竹の子のようにどんどん出てきているアルゼンチンホープたちも、この人の功績によるボクシング人気向上がなければ違うキャリアになっていたかも? お体には気をつけてね。