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4大ミドル級ファイト、その1と2

9月の幕開けとともにプロボクシング界が本格再スタートを切った。五輪期間中はほとんどめぼしい試合がなかっただけに当日の試合予定を眺めるだけでもワクワクしてしまう。中でも注目は全開の記事でも取り上げたミドル級ウォーズだろう。今日はドイツでシュトゥルムvsギールが、ニューヨークではゴロフキンvsプロクサが行われ、いずれ劣らぬ好ファイトが展開された。

 

ドイツの統一戦は接戦。力のこもったパンチで時折ビッグチャンスを作ったギールと粘り強くクリーンヒットを奪い続けたシュトゥルムとの戦いは、どちらの勝勢にもならないまま試合終了のゴング。地元の分判定ではシュトゥルム有利かと思われたが、公式ジャッジは2-1でタスマニアの雄ギールを支持。ブーイングを飛ばすこともなく完全に静まり返った大観衆が強く印象に残った。

勝ったギールはやはり特筆すべき強みは見当たらないものの、各要素がバランスよくまとまっていて誰に対しても健闘できるタイプ。デラホーヤとの戦いから10年が過ぎたシュトゥルムは、撃たれた時の耐久力の低下に加齢を感じさせた。再戦すればもっと差がつくかもしれない。

 

しかしこの日最も大きなインパクトを残したのはなんといっても念願のUSデビューを果たしたゲナディ・ゴロフキン、通称GGG(トリプルG)だ。キレのある動きで好調を感じさせるプロクサから初回早くも連打でダウンを奪いNYの観客に鮮烈なインパクトを与える。2、3ラウンドとプロクサも健闘したが4回に再び倒されると5回にも致命的なダウンを浴び勝負あり。なおも立ち上がったプロクサだったがレフェリーのストップは懸命な判断だった。

強い。その一言だ。特に力んでいるようには見えないナチュラルなパンチの一発一発が恐るべき破壊力を秘めていて、しかもそれがスムーズなコンビネーションの中で放たれる。腹にめり込む痛烈なボディーショット、そこから自然につながる切れ味抜群のアッパーカット。こんなの食らったら誰でもヘロヘロにされてしまう。ミドル級としては大きくないが見た目以上に長い距離でも強打を打てるし、もちろんクロスレンジもお手のもの。距離に応じた適切なパンチを頭で考えることなく自然に出せるからどんなスタイルの相手とも戦える。フィジカルの強さは言うに及ばず、スキルもセンスも半端ではない。隙が見当たらない強さだ。淵上はなぜこんなのに挑戦したんだろうと思ってしまう。

 

これでギールはWBAスーパーとIBFの王者になり、ゴロフキンは変わらずWBAレギュラー王者のままだ。WBAはこの両者に統一戦指令を出しているが果たしてギール側が受けるかどうか。ちょっとはっきりした力の差が見えてしまった。

 

その他の試合ではIBFミニマムのジョイが敵地メキシコでまさかまさかのKO負け。井岡を抑えてミニマムナンバーワンとの声もあっただけにショッキングなニュースだ。高山はどうするのか。同じ南アのIBFフライ級王者ムタラネはパナマの挑戦者ヌネスとの倒し合いを制し防衛成功した。エルニカことルイス・コンセプションは判定勝利。サリド戦を控えるメヒコの特級ホープマイキー・ガルシアは懐かしのマウリシオ・パストラーナにワンパンチKOで勝利した。