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名城信男最後の戦い? それとも……

名城信男が今週土曜日大一番に臨む。場所は大阪・住吉スポーツセンター。相手はWBAスーパーフライ級王者テーパリッ。かつて名城が二度保持したベルトを現在持つ男である。

この試合、はっきり言って全然盛り上がっていない。テレビは関西ローカル録画(日曜朝4時!)、会場は超マイナー。日本のボクオタの話題は村田諒太と二ヶ月後の西岡‐ドネア戦に独占され、この「世界タイトル戦」の話題が上ることは稀だ。しかしいざ名城が三度目の戴冠を果たした時「実は最初から注目していました!」と言い出すのは嫌なので今ここで記事にしておきたい。

 

果たして名城信男は勝てるのか?

一般的な予想は大きくテーパリッに傾いている。名城は二度目のタイトルをウーゴ・カサレスに奪われた。そのカサレスから王座をもぎ取ったのが清水であり、その清水を完全粉砕したのがテーパリッだ。その間名城は二度に渡りWBCに挑戦したがいずれも判定で退けられている。近年の名城の試合ぶりに関しては、工夫がない、進歩がない、フック振り回すだけ……と手厳しい声が多い。世界戦以外で強豪とのサバイバルマッチをやっていないという批判ももっともだ。まず国内強豪や世界ランカーに勝って健在を証明してから挑戦するのが筋ではないか……実に正しい。

しかし名城は決して勝算なしに引退への花道としてこの戦いに挑むわけではない。そもそもWBCでの二連敗はいずれも健闘のはての判定負け。特にスリヤン戦は敵地タイでの挑戦でありながら2ポイント差1人、3ポイント差1人という大健闘だった。そういう意味では名城は既に充分現時点での力量を証明しているとも言える。

名城の本当の強さは大振りのフックではない。構えた位置からスッと出てガツンと効かせる右ストレートだ。一時期何故かそれが出なくなりアウトボクサーに対する攻め手を失っていたが、スリヤン戦では良い時の名城らしい動きを見せていた。今回更なる向上があれば、序盤でビッグパンチを炸裂させ流れを一気に引き寄せることも大いに有り得る。

マーティン・カスティーヨのまぶたを切り裂き劇的な世界奪取を成し遂げてからはや6年。30歳の名城に大化けを期待するのは酷だろうが、そもそも名城に必要なのは大化けではない。一度は忘れていた本来のスタイルを取り戻すことだ。

 

テーパリッも盤石とは言い難い。清水戦では大勝だったが、そもそもフライ級がベストの清水はSフライでがっつり打ち合えるフィジカルを有していなかったしメンタルも万全ではなかった。その前の大毅戦もそれほど大きな力の差を見せたわけではない。打ち合いが持ち味のスタイルは名城にとってロハスやカサレスよりよほどやりやすいだろう。接戦なら当然名城に地の利が働く。

 

それでも有利な戦いとは言えない。3-7というのが正直なところか。しかし世界挑戦で3割の見込みがあるならそれは無謀でもなんでもない真っ当なチャレンジだ。

名城信男最終章」「負ければ引退」などと謳われるこの試合、願わくば終わりではなく新しい始まりになってほしい。